課題

GDPの四半期データ(gdp_qtr.csv)の対数系列を用いて、以下の分析を行ってください。

  1. 20期までの標本AC関数と標本PAC関数を調べる。
  2. AR(1)・AR(2)・MA(1)・MA(2)・ARMA(1,1)モデルを推定し、最小AIC規準でモデルを1つ選ぶ。
  3. 最小AIC規準で選んだモデルの残差について、8次までのふろしき検定を行う。
  4. ARIMAも含めて最小AIC基準で最適なモデルを選ぶ。

上記の分析結果を踏まえて(  )内から適切な語句を選んでください。

  1. 標本AC関数からは(低次・高次)の有意な相関があり、標本PAC関数からは(低次・高次)の有意な相関があることが分かる。
  2. 最小AIC規準では(AR(1)・AR(2)・MA(1)・MA(2)・ARMA(1,1))が選ばれる。
  3. 最小AIC規準で選んだモデルついて、残差に系列相関がないという帰無仮説は、自由度が1以上となる有意水準1%の検定で(少なくとも1つの次数において棄却される・すべての次数において棄却されない)。
  4. ARIMAを含めると、最小AIC規準では(AR(1)・AR(2)・MA(1)・MA(2)・ARMA(1,1)・ARIMA(0,1,0)・ARIMA(1,1,0)・ARIMA(1,1,1)・ARIMA(0,1,1))が選ばれる。

解答

# 四半期毎のGDPデータを読み込む
gdp_qtr <- read.csv("gdp_qtr.csv")
head(gdp_qtr)
##          time      gdp
## 1 1994/ 1- 3. 446281.9
## 2       4- 6. 443805.8
## 3       7- 9. 448941.2
## 4      10-12. 447126.3
## 5 1995/ 1- 3. 452085.2
## 6       4- 6. 456347.7
# データをts型に変換
x <- ts(data = gdp_qtr$gdp, start = c(1994, 1), frequency = 4)

# 対数系列
y <- log(x)
1. 20期までの標本AC関数と標本PAC関数を調べる。
# 標本AC関数
acf(y)

  • 標本AC関数は1に近い値からゆっくりと減衰し、(四半期データなのでLagの1は4四半期を表すので)20次のラグの係数まですべて有意となっている。
# 標本PAC関数
pacf(y)

  • 標本PAC関数は1次のラグの係数のみが有意となっている。
  1. 標本AC関数からは(高次)の有意な相関があり、標本PAC関数からは(低次)の有意な相関があることが分かる。
2. AR(1)・AR(2)・MA(1)・MA(2)・ARMA(1,1)モデルを推定し、最小AIC規準でモデルを1つ選ぶ。
# AR(1), AR(2), MA(1), MA(2), ARMA(1,1)
ar1 <- arima(y, order = c(1,0,0))
ar2 <- arima(y, order = c(2,0,0))
ma1 <- arima(y, order = c(0,0,1))
ma2 <- arima(y, order = c(0,0,2))
arma11 <- arima(y, order = c(1,0,1))

# AIC
AIC(ar1, ar2, ma1, ma2, arma11)
##        df       AIC
## ar1     3 -621.9827
## ar2     4 -620.1237
## ma1     3 -418.2189
## ma2     4 -485.6494
## arma11  4 -620.1233
  1. 最小AIC規準では(AR(1))が選ばれる。
3. 最小AIC規準で選んだモデルの残差について、8次までのふろしき検定を行う。
# 残差プロット
plot(ar1$residuals)

# 残差のACプロット
acf(ar1$residuals)

# 残差のPACプロット
pacf(ar1$residuals)

  • 残差の標本AC・PAC関数からは有意な自己相関は見られない。
# k=1から8までのLjung-Box検定統計量とp値
Q_LB <- numeric(8)
p_LB <- numeric(8)
for (k in 1:8) {
  LB <- Box.test(ar1$residuals, k, type = "Ljung-Box", fitdf = 1)
  Q_LB[k] <- LB$statistic
  p_LB[k] <- LB$p.value
}
data.frame(k = 1:8, Q_LB, p_LB)
##   k      Q_LB      p_LB
## 1 1 0.3884665 0.0000000
## 2 2 0.5202927 0.4707168
## 3 3 1.0700188 0.5856638
## 4 4 1.9318177 0.5866781
## 5 5 2.1201251 0.7136760
## 6 6 2.1895277 0.8223472
## 7 7 2.2537468 0.8949455
## 8 8 2.4546147 0.9304757
  • \(k=2\)で自由度は\(k-1=1\)になり、検定統計量として意味をもつ。
  • \(p\)値は2以上のすべての次数について10%より大きい。
  • したがって、残差に自己相関は残っていないと判断できる。
  1. 最小AIC規準で選んだモデルついて、残差に系列相関がないという帰無仮説は、自由度が1以上となる有意水準1%の検定で(すべての次数において棄却されない)。
4. ARIMAも含めて最小AIC基準で最適なモデルを選ぶ。
# ARIMAを含めて次数選択
library("forecast")
## Registered S3 method overwritten by 'quantmod':
##   method            from
##   as.zoo.data.frame zoo
fit <- auto.arima(y, seasonal = F, ic = "aic", stepwise = T, trace = T)
## 
##  ARIMA(2,1,2)           with drift         : Inf
##  ARIMA(0,1,0)           with drift         : -622.8033
##  ARIMA(1,1,0)           with drift         : -621.2504
##  ARIMA(0,1,1)           with drift         : -621.2779
##  ARIMA(0,1,0)                              : -623.0517
##  ARIMA(1,1,1)           with drift         : Inf
## 
##  Best model: ARIMA(0,1,0)
summary(fit)
## Series: y 
## ARIMA(0,1,0) 
## 
## sigma^2 estimated as 0.0001908:  log likelihood=312.53
## AIC=-623.05   AICc=-623.01   BIC=-620.36
## 
## Training set error measures:
##                       ME       RMSE         MAE      MPE       MAPE      MASE
## Training set 0.001839519 0.01375119 0.008445821 0.013991 0.06431981 0.4397182
##                     ACF1
## Training set -0.06778431
  1. ARIMAを含めると、最小AIC規準では(ARIMA(0,1,0))が選ばれる。
# k=1から8までのLjung-Box検定統計量とp値
Q_LB <- numeric(8)
p_LB <- numeric(8)
for (k in 1:8) {
  LB <- Box.test(fit$residuals, k, type = "Ljung-Box", fitdf = 1)
  Q_LB[k] <- LB$statistic
  p_LB[k] <- LB$p.value
}
data.frame(k = 1:8, Q_LB, p_LB)
##   k      Q_LB      p_LB
## 1 1 0.5193290 0.0000000
## 2 2 0.5508002 0.4579909
## 3 3 1.1939031 0.5504872
## 4 4 1.6808260 0.6412050
## 5 5 1.7644625 0.7789773
## 6 6 1.7720567 0.8796997
## 7 7 1.8392210 0.9338755
## 8 8 1.9629108 0.9618646
  • 対数の差分系列には有意な自己相関がなく、対数系列は和文過程であると考えられる。