高感度CRP濃度と6年間追跡中の2型糖尿病発症との関連

王 超辰  Chaochen Wang
2015-09-14

背景

  • 高感度CRPは:

    • 全身性の低炎症状態の代表的なマーカーである.
    • 心血管イベントの確率した危険因子である.
    • 2型糖尿病の発症と関連することが示されてきている.
  • 肥満や喫煙は糖尿病発症の危険因子であり,高感度CRPの上昇とも関連している.

  • 非喫煙者,非肥満者における高感度CRPの個人差が糖尿病発症に関連しているかどうかは調べられていない

背景「つづく」

  • 糖尿病リスクの上昇

    • 肥満 \( (BMI \geqslant 25 kg/m^2) \) 約 200 %
    • 喫煙は約 50 %
  • 肥満者は日本人成人の3割,喫煙者は約2割を占めるのみ

    糖尿病発症に対する「非肥満者・非喫煙者」の人口寄与危険度割合は大きい
    
  • 非肥満者・非喫煙者での発症リスクの層別化が重要

目的

  • 高感度CRP濃度がその後6年間の2型糖尿病の発症に関連することを示す

  • さらに,非肥満者・非喫煙者でその関連をが認められるかを調べる.

方法 「対象者」

ベースライン(2002年)調査

愛知県職員(35~66歳) n = 4,213

除外基準:
    1.  糖尿病の病歴がある者(n = 468);
    2.  高感度CRP >= 10 mg/dL(n =  25);
    3.  必要なデータが欠損(n = 680):
        年齢,性別,身長,体重,
        飲酒・運動・喫煙習慣,
        空腹時血糖値

n = 3,040 (男 2,346; 女 694)

方法 「糖尿病発症把握と統計解析」

  • 糖尿病発症者の確認方法 (2007年3月末まで)

    • 治療開始の自己申告
    • 検診成績で空腹時血糖値が初めて 126 mg/dL を越えた年
  • 統計解析

    • 高感度CRP値の四分位 (Q1,Q2,Q3,Q4) を説明変数
    • 年齢,性別,BMI,飲酒,運動習慣,空腹時血糖値を補正したCox比例ハザードモデル
    • 交互作用検定:尤度比検定

CRPとBMI,年齢の関係

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CRPと喫煙の関係

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CRPと性年齢調整罹患率 (1)

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CRPと性年齢調整罹患率 (2)

alt text 肥満・非肥満による層別化

alt text 喫煙・非喫煙による層別化

CRPと性年齢調整罹患率 (3)

非喫煙者において,肥満の有無による層別化 alt text

考察 (1)

  • ベースラインの高感度CRP値は6年間の糖尿病発症と関連し,その関連は喫煙,肥満のない者で認められた.

  • CRPそのもの,未知あるいは解析に含まれていない原因による,CRPの上昇が2型糖尿病発症と関連することを示唆される.

考察 (2)

低炎症状態では

  • サイトカインやケモカインなどの合成を促進している.
  • 単核白血球やマクロファージが活性化している.

これらは,インスリン抵抗性を引き起こす[1]

[1] Shoelson, S.E., 2006. Inflammation and insulin resistance. Journal of Clinical Investigation

結論

  • CRPそのもの,あるいはCRPによって示される慢性低炎症状態が糖尿病発症に先行する.

  • 低炎症状態と糖尿病発症との関連は喫煙習慣,肥満により有意に異なる.