この資料では, 近年の公開問題に見られる出題の流れを踏まえ, 次回に形を変えて出されやすいと考えられる次の3テーマを重点的に扱う。
ラグランジアンとオイラー・ラグランジュ方程式は近年すでに正面から出題されており, 次回も同じ形式で続けて出る可能性は相対的に低いと仮定して, 本資料からは外した。
最近の問題では, 公式の暗記だけでなく, 次の一連の処理が問われている。
以下では, 各公式の意味と導出だけでなく, 試験答案をどの順序で組み立てるかも説明する。
| 優先度 | 対策テーマ | 次に出しやすい理由 | 典型的な問われ方 |
|---|---|---|---|
| A | 回転座標系・コリオリ力 | 非慣性系, 回転運動, 地球上の運動をまとめて問える | 偏向方向, 落下点のずれ, 回転系の運動方程式 |
| A | 減衰・強制振動と共振 | 自由振動や減衰は頻出だが, 周期外力を含む問題は展開しやすい | 定常振幅, 位相差, 共振条件, エネルギー散逸 |
| A | 有効ポテンシャルと軌道安定性 | 重力, 円軌道, 摂動, 微小振動を統一的に扱える | 円軌道条件, 安定性, 動径方向の固有振動 |
ニュートンの運動方程式
\[ m\boldsymbol{a}=\boldsymbol{F} \]
は慣性系で成り立つ。地球表面の座標系のように回転している座標系では, 座標軸そのものが時間とともに向きを変えるため, 回転系で測った加速度をそのまま左辺へ入れることはできない。
任意のベクトル \(\boldsymbol{A}\) に対して, 慣性系と角速度 \(\boldsymbol{\Omega}\) で回転する座標系の時間微分には
\[ \left(\frac{d\boldsymbol{A}}{dt}\right)_{\mathrm{in}} = \left(\frac{d\boldsymbol{A}}{dt}\right)_{\mathrm{rot}} + \boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{A} \]
という関係がある。
位置ベクトル \(\boldsymbol{r}\) にこの式を1回適用すると速度の関係, さらに1回適用すると加速度の関係が得られる。
\[ \boldsymbol{a} = \boldsymbol{a}' +2\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{v}' +\boldsymbol{\Omega}\times (\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{r}) +\dot{\boldsymbol{\Omega}}\times\boldsymbol{r}. \]
ここで, ダッシュは回転座標系で測った量を表す。
この式を慣性系の運動方程式へ代入すると,
\[ m\boldsymbol{a}' = \boldsymbol{F} -2m\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{v}' -m\boldsymbol{\Omega}\times (\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{r}) -m\dot{\boldsymbol{\Omega}}\times\boldsymbol{r}. \]
右辺の第2項以降を, 回転系で現れる見かけの力という。
コリオリ力 \[ -2m\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{v}' \] 回転系に対して動く物体にだけ働く。速度に垂直なので, 物体の速さを直接変えず, 主として進行方向を曲げる。
遠心力 \[ -m\boldsymbol{\Omega}\times (\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{r}) \] 回転軸から外向きに働く。回転系に静止している物体にも働く。
オイラー力 \[ -m\dot{\boldsymbol{\Omega}}\times\boldsymbol{r} \] 回転角速度が時間変化するときに現れる。地球自転を一定とみなす問題では消える。
局所座標を
とする。
緯度を \(\lambda\) とすると, 地球自転角速度ベクトルは
\[ \boldsymbol{\Omega} = (0,\Omega\cos\lambda,\Omega\sin\lambda) \]
と書ける。
この成分表示は重要である。
赤道では自転軸は局所水平面内にあり, 極では局所鉛直方向と一致する。
コリオリ加速度は
\[ \boldsymbol{a}_{\mathrm{cor}} = -2\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{v}'. \]
ベクトル積の順序を逆にすると符号が変わるので,
\[ \boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{v}' \]
を先に右手で求め, 最後に負号を付ける方が安全である。
たとえば物体が北向きに
\[ \boldsymbol{v}'=(0,V,0) \]
で運動するなら,
\[ -2\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{v}' = (2\Omega V\sin\lambda,0,0). \]
北半球では \(x\) 成分が正なので, 東向きへ偏向する。
地球自転による偏向は, 重力による主運動に比べて小さい。この場合は次の順序で解く。
コリオリ力によって生じた速度を再びコリオリ項へ入れると \(\Omega^2\) の効果になる。したがって, \(\Omega\) の一次までなら無視できる。
これは摂動計算の基本形である。
慣性系で直線運動する粒子も, 回転座標系からは曲線運動に見える。
omega <- 0.35
v <- 1
t <- seq(0, 12, length.out = 500)
# 慣性系では x = vt, y = 0
xI <- v * t
yI <- rep(0, length(t))
# 回転座標への変換
xR <- cos(omega*t) * xI + sin(omega*t) * yI
yR <- -sin(omega*t) * xI + cos(omega*t) * yI
plot(xR, yR, type = "l", asp = 1,
xlab = "回転系の x'", ylab = "回転系の y'",
main = "慣性系で直線運動する粒子の見かけの軌跡")
points(xR[1], yR[1], pch = 16)
この曲がりは, 慣性系で横向きの実在力が働いていることを意味しない。回転する観測者から見た結果である。
緯度 \(\lambda\) の地点で, 地表から高さ \(h\) の位置にある物体を静かに落とす。空気抵抗を無視し, 地球自転角速度 \(\Omega\) の一次まで考える。
物体は静かに落とされるので,
\[ v_z'(0)=0. \]
\(z\) 軸を上向きとすると, 自転を無視した鉛直運動は
\[ \ddot{z}=-g \]
である。したがって,
\[ v_z'(t)=-gt. \]
\(\Omega\) の一次まで求める場合, この未摂動速度をコリオリ項へ代入すればよい。
速度ベクトルは
\[ \boldsymbol{v}' = (0,0,-gt) \]
である。地球自転ベクトル
\[ \boldsymbol{\Omega} = (0,\Omega\cos\lambda,\Omega\sin\lambda) \]
とのベクトル積は,
\[ \boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{v}' = \begin{pmatrix} -\Omega gt\cos\lambda\\ 0\\ 0 \end{pmatrix}. \]
したがって,
\[ \boldsymbol{a}_{\mathrm{cor}} = -2\boldsymbol{\Omega}\times\boldsymbol{v}' = \begin{pmatrix} 2\Omega gt\cos\lambda\\ 0\\ 0 \end{pmatrix}. \]
よって東向き加速度は
\[ \boxed{ a_x(t)=2\Omega gt\cos\lambda } \]
である。
落下速度が時間とともに大きくなるため, コリオリ加速度も時間に比例して大きくなる。
初めの東向き速度は0なので,
\[ v_x(t) = \int_0^t 2\Omega gs\cos\lambda\,ds = \Omega gt^2\cos\lambda. \]
さらに, 初めの東向き変位も0なので,
\[ x(t) = \int_0^t \Omega gs^2\cos\lambda\,ds = \frac{1}{3}\Omega gt^3\cos\lambda. \]
落下距離 \(h\) は
\[ h=\frac{1}{2}gT^2 \]
なので,
\[ T=\sqrt{\frac{2h}{g}}. \]
したがって着地時の東向き変位は,
\[ x(T) = \frac{1}{3}\Omega g \left(\frac{2h}{g}\right)^{3/2} \cos\lambda. \]
整理すると,
\[ \boxed{ x(T) = \frac{2\sqrt{2}}{3} \frac{\Omega h^{3/2}}{\sqrt{g}} \cos\lambda } \]
となる。
\[ \frac{\Omega h^{3/2}}{\sqrt{g}} \]
の次元は,
\[ \frac{T^{-1}L^{3/2}}{(L/T^2)^{1/2}} = L \]
なので, 変位として正しい。
質量 \(m\), ばね定数 \(k\), 速度に比例する抵抗係数 \(c\), 周期外力 \(F_0\cos\omega t\) を考える。
\[ m\ddot{x}+c\dot{x}+kx=F_0\cos\omega t. \]
各項の意味は次の通りである。
一般解は,
\[ x(t) = \text{過渡解} + \text{定常解} \]
の形になる。減衰があると過渡解は時間とともに消え, 十分時間が経過すると定常解だけが残る。
外力を0とすると,
\[ m\ddot{x}+c\dot{x}+kx=0. \]
特性方程式は,
\[ mr^2+cr+k=0. \]
自然角振動数と減衰率を
\[ \omega_0=\sqrt{\frac{k}{m}}, \qquad \gamma=\frac{c}{2m} \]
とおくと,
\[ r=-\gamma\pm\sqrt{\gamma^2-\omega_0^2}. \]
\[ x(t) = Ae^{-\gamma t} \cos(\omega_d t+\phi), \qquad \omega_d = \sqrt{\omega_0^2-\gamma^2}. \]
振動しながら指数関数的に減衰する。
振動せずに平衡位置へ戻る。振動しない条件の中では最も速く戻る。
振動せず, 2つの指数関数の和としてゆっくり平衡位置へ近づく。
定常解を複素表示で
\[ x(t) = \Re\left[Xe^{i\omega t}\right] \]
とする。外力も \(F_0e^{i\omega t}\) の実部として扱うと,
\[ (-m\omega^2+ic\omega+k)X=F_0. \]
したがって,
\[ X = \frac{F_0} {k-m\omega^2+ic\omega}. \]
振幅は複素振幅の絶対値なので,
\[ A(\omega) = \frac{F_0} {\sqrt{(k-m\omega^2)^2+c^2\omega^2}}. \]
また,
\[ x(t)=A\cos(\omega t-\delta) \]
と書けば,
\[ \tan\delta = \frac{c\omega} {k-m\omega^2}. \]
振幅が最大となる角振動数を共振角振動数という。
\[ A^2 = \frac{F_0^2} {(k-m\omega^2)^2+c^2\omega^2} \]
なので, 分母を最小にすればよい。
\(\omega_0=\sqrt{k/m}\), \(\gamma=c/(2m)\) を用いると,
\[ A = \frac{F_0/m} {\sqrt{(\omega_0^2-\omega^2)^2 +4\gamma^2\omega^2}}. \]
非零の周波数で振幅が最大になる条件は,
\[ \boxed{ \omega_{\mathrm{res}} = \sqrt{\omega_0^2-2\gamma^2} } \]
である。
この値が実数となるには,
\[ \gamma<\frac{\omega_0}{\sqrt{2}} \]
が必要である。減衰がこれより大きいと, 有限周波数に明瞭な振幅ピークは現れない。
m <- 1
k <- 1
F0 <- 1
omega <- seq(0, 2.2, length.out = 600)
cs <- c(0.08, 0.25, 0.6)
A <- sapply(cs, function(cc) {
F0 / sqrt((k - m*omega^2)^2 + (cc*omega)^2)
})
matplot(omega, A, type = "l", lty = 1,
xlab = expression(omega), ylab = "定常振幅",
main = "減衰係数による共振曲線の違い")
legend("topright", legend = paste("c =", cs),
lty = 1, col = seq_along(cs), bty = "n")
力学的エネルギー
\[ E = \frac{1}{2}m\dot{x}^2 + \frac{1}{2}kx^2 \]
を時間微分すると,
\[ \frac{dE}{dt} = -c\dot{x}^2 + F_0\dot{x}\cos\omega t. \]
定常状態では1周期平均のエネルギーは変化しないので,
\[ \left\langle F_0\dot{x}\cos\omega t \right\rangle = \left\langle c\dot{x}^2 \right\rangle. \]
定常解 \(x=A\cos(\omega t-\delta)\) に対して,
\[ \left\langle c\dot{x}^2 \right\rangle = \frac{1}{2}c\omega^2A^2. \]
弱減衰では,
\[ Q \simeq \frac{\omega_0}{2\gamma} = \frac{m\omega_0}{c}. \]
\(Q\) が大きいほど,
という性質を持つ。
強制振動方程式
\[ \ddot{x} +2\gamma\dot{x} +\omega_0^2x = f_0\cos\omega t \]
について,
外力を
\[ f_0e^{i\omega t} \]
と考え, 複素解を
\[ x_c(t)=Xe^{i\omega t} \]
とおく。
\[ \dot{x}_c=i\omega Xe^{i\omega t}, \qquad \ddot{x}_c=-\omega^2Xe^{i\omega t} \]
なので, 運動方程式へ代入すると,
\[ (-\omega^2+2i\gamma\omega+\omega_0^2) Xe^{i\omega t} = f_0e^{i\omega t}. \]
したがって,
\[ X = \frac{f_0} {\omega_0^2-\omega^2+2i\gamma\omega}. \]
定常振幅は \(X\) の絶対値である。
\[ |X| = \frac{f_0} { \sqrt{ (\omega_0^2-\omega^2)^2 + 4\gamma^2\omega^2 } }. \]
よって,
\[ \boxed{ A(\omega) = \frac{f_0} { \sqrt{ (\omega_0^2-\omega^2)^2 + 4\gamma^2\omega^2 } } } \]
である。
\[ X=Ae^{-i\delta} \]
と書くと, 分母の偏角から,
\[ \boxed{ \tan\delta = \frac{2\gamma\omega} {\omega_0^2-\omega^2} } \]
となる。
\(\omega<\omega_0\) では位相遅れは \(\pi/2\) より小さく, \(\omega>\omega_0\) では \(\pi/2\) より大きい。
\(A\) を最大にするには,
\[ D(\omega) = (\omega_0^2-\omega^2)^2 + 4\gamma^2\omega^2 \]
を最小にすればよい。
微分すると,
\[ \frac{dD}{d\omega} = -4\omega(\omega_0^2-\omega^2) + 8\gamma^2\omega. \]
整理すると,
\[ \frac{dD}{d\omega} = 4\omega \left( \omega^2-\omega_0^2+2\gamma^2 \right). \]
したがって停留点は,
\[ \omega=0 \]
または,
\[ \omega^2 = \omega_0^2-2\gamma^2. \]
非零の共振角振動数は,
\[ \boxed{ \omega_{\mathrm{res}} = \sqrt{\omega_0^2-2\gamma^2} } \]
である。
上式が実数となるためには,
\[ \omega_0^2-2\gamma^2>0 \]
が必要なので,
\[ \boxed{ \gamma<\frac{\omega_0}{\sqrt{2}} } \]
である。
この条件を満たさない場合も外力に対する定常振動は存在するが, 振幅は \(\omega=0\) から単調に減少し, 有限周波数の共振ピークは現れない。
定常解を
\[ x(t) = A\cos(\omega t-\delta) \]
とすると,
\[ \dot{x}(t) = -A\omega\sin(\omega t-\delta). \]
抵抗による瞬間的な散逸率は,
\[ P_{\mathrm{diss}} = 2\gamma\dot{x}^2 \]
である。ここでは方程式を質量で割っているため, 単位質量当たりの散逸率を考えている。
1周期平均では,
\[ \left\langle \sin^2(\omega t-\delta) \right\rangle = \frac{1}{2} \]
なので,
\[ \boxed{ \left\langle P_{\mathrm{diss}} \right\rangle = \gamma\omega^2A^2 } \]
となる。
元の方程式が
\[ m\ddot{x}+c\dot{x}+kx=F_0\cos\omega t \]
なら,
\[ \boxed{ \left\langle P_{\mathrm{diss}} \right\rangle = \frac{1}{2}c\omega^2A^2 } \]
である。
\(\omega\to0\) \[ A\to\frac{f_0}{\omega_0^2} \] 静的な力に対する変位に一致する。
\(\omega\to\infty\) \[ A\sim\frac{f_0}{\omega^2} \] 高周波では慣性のため質点が外力に追随できない。
\(\gamma\to0\) \[ \omega_{\mathrm{res}}\to\omega_0 \] 無減衰系の共振条件に戻る。
中心力は,
\[ \boldsymbol{F} = F(r)\boldsymbol{e}_r \]
のように, 常に中心と質点を結ぶ方向に働く。
原点まわりのトルクは,
\[ \boldsymbol{\tau} = \boldsymbol{r}\times\boldsymbol{F} = 0 \]
なので,
\[ \frac{d\boldsymbol{L}}{dt}=0, \qquad \boldsymbol{L} = m\boldsymbol{r}\times\dot{\boldsymbol{r}}. \]
したがって角運動量が保存される。
\(\boldsymbol{L}\) の向きが一定なので, 運動は \(\boldsymbol{L}\) に垂直な一平面内に限られる。極座標 \((r,\theta)\) を用いると,
\[ L=mr^2\dot{\theta}. \]
平面極座標での運動エネルギーは,
\[ T = \frac{1}{2}m \left( \dot{r}^2+r^2\dot{\theta}^2 \right). \]
角運動量保存から,
\[ \dot{\theta} = \frac{L}{mr^2} \]
なので,
\[ T = \frac{1}{2}m\dot{r}^2 + \frac{L^2}{2mr^2}. \]
したがって全エネルギーは,
\[ E = \frac{1}{2}m\dot{r}^2 + \frac{L^2}{2mr^2} + U(r). \]
ここで,
\[ \boxed{ U_{\mathrm{eff}}(r) = \frac{L^2}{2mr^2} + U(r) } \]
を有効ポテンシャルという。
動径方向の運動は,
\[ \frac{1}{2}m\dot{r}^2 + U_{\mathrm{eff}}(r) = E \]
という一次元問題として扱える。
円軌道では半径が一定なので,
\[ \dot{r}=0, \qquad \ddot{r}=0. \]
したがって円軌道半径 \(r_0\) は,
\[ \boxed{ U_{\mathrm{eff}}'(r_0)=0 } \]
を満たす。
さらに,
\[ U_{\mathrm{eff}}''(r_0)>0 \]
なら有効ポテンシャルの極小点なので安定,
\[ U_{\mathrm{eff}}''(r_0)<0 \]
なら極大点なので不安定である。
安定な円軌道付近で,
\[ r=r_0+\xi, \qquad |\xi|\ll r_0 \]
とおくと,
\[ m\ddot{\xi} = -U_{\mathrm{eff}}''(r_0)\xi. \]
したがって動径方向の微小振動角振動数は,
\[ \boxed{ \omega_r = \sqrt{ \frac{ U_{\mathrm{eff}}''(r_0) }{m} } } \]
である。
引力が
\[ F(r) = -\frac{k}{r^n} \qquad(k>0) \]
であるとする。
円軌道条件は,
\[ \frac{L^2}{mr_0^3} = \frac{k}{r_0^n}. \]
円軌道条件を用いて有効ポテンシャルの二階微分を整理すると,
\[ U_{\mathrm{eff}}''(r_0) = (3-n) \frac{k}{r_0^{n+1}}. \]
したがって,
\[ \boxed{ n<3 \text{ のとき円軌道は安定} } \]
である。
\(n=3\) では二次の項が消えるため, 高次の項まで調べる必要がある。
万有引力では,
\[ U(r) = -\frac{GMm}{r} \]
なので,
\[ U_{\mathrm{eff}}(r) = \frac{L^2}{2mr^2} - \frac{GMm}{r}. \]
G <- 1
M <- 1
m <- 1
L <- 1.2
r <- seq(0.18, 5, length.out = 700)
Ueff <- L^2/(2*m*r^2) - G*M*m/r
plot(r, Ueff, type = "l",
xlab = "r", ylab = expression(U[eff](r)),
main = "万有引力場の有効ポテンシャル")
abline(h = 0, lty = 2)
円軌道半径は,
\[ r_0 = \frac{L^2}{GMm^2}. \]
万有引力は \(n=2\) に対応するので, 円軌道は安定である。
ポテンシャル
\[ U(r) = -\frac{a}{r} + \frac{b}{r^2}, \qquad a>0 \]
中を運動する質量 \(m\) の質点を考える。角運動量の大きさを \(L\) とする。
有効ポテンシャルは,
\[ U_{\mathrm{eff}}(r) = \frac{L^2}{2mr^2} + U(r) \]
なので,
\[ U_{\mathrm{eff}}(r) = -\frac{a}{r} + \left( \frac{L^2}{2m}+b \right) \frac{1}{r^2}. \]
ここで,
\[ C = \frac{L^2}{2m}+b \]
とおくと,
\[ \boxed{ U_{\mathrm{eff}}(r) = -\frac{a}{r} + \frac{C}{r^2} } \]
と簡潔に書ける。
\(C/r^2\) は, 角運動量による遠心力的障壁と, 元のポテンシャル \(b/r^2\) を合わせた項である。
円軌道半径 \(r_0\) は,
\[ U_{\mathrm{eff}}'(r_0)=0 \]
を満たす。
\[ U_{\mathrm{eff}}'(r) = \frac{a}{r^2} - \frac{2C}{r^3}. \]
したがって,
\[ \frac{a}{r_0^2} - \frac{2C}{r_0^3} = 0. \]
\(r_0^3\) を掛けると,
\[ ar_0-2C=0. \]
よって,
\[ \boxed{ r_0 = \frac{2C}{a} = \frac{ L^2/m+2b }{a} } \]
である。
物理的な円軌道には \(r_0>0\) が必要である。\(a>0\) なので,
\[ C>0 \]
すなわち,
\[ \boxed{ \frac{L^2}{2m}+b>0 } \]
が円軌道の存在条件である。
\(b\) が負であっても, 角運動量による \(L^2/(2m)\) が十分大きければ円軌道は存在する。
二階微分は,
\[ U_{\mathrm{eff}}''(r) = -\frac{2a}{r^3} + \frac{6C}{r^4}. \]
円軌道条件
\[ ar_0=2C \]
を用いると,
\[ U_{\mathrm{eff}}''(r_0) = -\frac{4C}{r_0^4} + \frac{6C}{r_0^4} = \frac{2C}{r_0^4}. \]
円軌道が存在する条件は \(C>0\) なので,
\[ U_{\mathrm{eff}}''(r_0)>0. \]
したがって,
\[ \boxed{ 存在する円軌道は安定 } \]
である。
この問題では, 円軌道の存在条件と安定条件が同じ \(C>0\) に帰着する。
\(r=r_0+\xi\) とおき, \(|\xi|\ll r_0\) とする。
有効ポテンシャルを \(r_0\) のまわりで二次まで展開すると,
\[ U_{\mathrm{eff}}(r) \simeq U_{\mathrm{eff}}(r_0) + \frac{1}{2} U_{\mathrm{eff}}''(r_0)\xi^2. \]
したがって,
\[ m\ddot{\xi} = -U_{\mathrm{eff}}''(r_0)\xi. \]
これは単振動の方程式なので,
\[ \omega_r^2 = \frac{ U_{\mathrm{eff}}''(r_0) }{m} = \frac{2C}{mr_0^4}. \]
よって,
\[ \boxed{ \omega_r = \sqrt{ \frac{2C}{mr_0^4} } } \]
である。
\(2C=ar_0\) を用いれば,
\[ \boxed{ \omega_r = \sqrt{ \frac{a}{mr_0^3} } } \]
とも書ける。
円軌道のエネルギーは,
\[ E_0 = U_{\mathrm{eff}}(r_0) = -\frac{a}{r_0} + \frac{C}{r_0^2}. \]
\(r_0=2C/a\) を代入すると,
\[ \boxed{ E_0 = -\frac{a^2}{4C} } \]
である。\(C>0\) なら \(E_0<0\) となり, 束縛軌道であることとも整合する。
緯度 \(\lambda\) の地点で, 地表から鉛直上向きに初速度 \(V\) で物体を投げる。空気抵抗を無視し, 地球自転角速度 \(\Omega\) の一次まで考える。
未摂動速度
\[ v_z(t)=V-gt \]
をコリオリ項へ代入する。上昇中と下降中では \(v_z\) の符号が反転するので, 東西加速度の向きも変わる。ただし, 上昇中に生じた東西速度が残るため, 往復の変位は単純には相殺しない。
地面が
\[ y(t)=Y_0\cos\omega t \]
で振動し, 質量 \(m\) がばね定数 \(k\), 減衰係数 \(c\) のばね・ダッシュポットで地面へ接続されている。質量の絶対変位を \(x(t)\) とし, 相対変位を \(z=x-y\) とする。
ばね力と減衰力は相対変位・相対速度に依存する。
\[ m\ddot{x} = -c(\dot{x}-\dot{y}) -k(x-y). \]
\(x=z+y\) を代入すると,
\[ m\ddot{z}+c\dot{z}+kz=-m\ddot{y}. \]
したがって, 地面加速度が外力として働く強制振動問題になる。
中心力
\[ F(r)=-\frac{k}{r^n} \]
のもとで運動する質点について,
円軌道条件で \(L\) と \(r_0\) の関係を作り, \(U_{\mathrm{eff}}''(r_0)\) を整理する。動径振動数と公転角振動数の比を求めると, 軌道が閉じるかどうかを考える手掛かりになる。