中級統計学:復習テスト22

作者

村澤 康友

公開

2025年12月17日

注意

すべての質問に解答しなければ提出とは認めない.正答に修正した上で,復習テスト 21〜26 を順に重ねて左上でホチキス止めし,定期試験実施日(1月27日の予定)に提出すること.

  1. \mathrm{N}\left(\mu,\sigma^2\right) から抽出した大きさ n の無作為標本の標本平均を \bar{X} とする.次の片側検定問題を考える.

H_0:\mu=c \quad \text{vs} \quad H_1:\mu>c

有意水準を 5%とする.

  1. 検定統計量を与えなさい.

  2. 検定統計量の H_0 の下での分布を与えなさい.

  3. n=10 として検定の棄却域を定めなさい.

  4. 検定統計量の値が 2.0 なら検定結果はどうなるか?

  1. \bar{X} の標本分布は

\bar{X} \sim \mathrm{N}\left(\mu,\frac{\sigma^2}{n}\right)

標準化すると

\frac{\bar{X}-\mu}{\sqrt{\sigma^2/n}} \sim \mathrm{N}(0,1)

\sigma^2s^2 に置き換えると

\frac{\bar{X}-\mu}{\sqrt{s^2/n}} \sim \mathrm{t}(n-1)

H_0:\mu=c を代入すると,検定統計量は

t:=\frac{\bar{X}-c}{\sqrt{s^2/n}}

  1. H_0 の下で

t \sim \mathrm{t}(n-1)

  1. t 分布表より H_0 の下で

\Pr[t \ge 1.833]=0.05

したがって棄却域は [1.833,\infty)

  1. 2.0 は棄却域 [1.833,\infty) に入るので H_0 を棄却して H_1 を採択.
  1. \mathrm{N}\left(\mu_X,\sigma_X^2\right),\mathrm{N}\left(\mu_Y,\sigma_Y^2\right) から独立に抽出した大きさ m,n の無作為標本の標本分散を s_X^2,s_Y^2 とする.次の片側検定問題を考える.

H_0:\sigma_X^2=\sigma_Y^2 \quad \text{vs} \quad H_1:\sigma_X^2>\sigma_Y^2

有意水準を 5%とする.

  1. 検定統計量を与えなさい.

  2. 検定統計量の H_0 の下での分布を与えなさい.

  3. m=4n=6 として検定の棄却域を定めなさい.

  4. 検定統計量の値が 2.0 なら検定結果はどうなるか?

  5. p 値が 0.1 なら検定結果はどうなるか?

  1. s_X^2,s_Y^2 の標本分布は

\begin{align*} \frac{(m-1)s_X^2}{\sigma_X^2} & \sim \chi^2(m-1) \\ \frac{(n-1)s_Y^2}{\sigma_Y^2} & \sim \chi^2(n-1) \end{align*}

両者は独立だから

\frac{s_X^2/\sigma_X^2}{s_Y^2/\sigma_Y^2} \sim \mathrm{F}(m-1,n-1)

すなわち

\frac{s_X^2/s_Y^2}{\sigma_X^2/\sigma_Y^2} \sim \mathrm{F}(m-1,n-1)

H_0:\sigma_X^2=\sigma_Y^2 を代入すると,検定統計量は

F:=\frac{s_X^2}{s_Y^2}

  1. H_0 の下で

F \sim \mathrm{F}(m-1,n-1)

  1. F 分布表より H_0 の下で

\Pr[F \ge 5.409]=0.05

したがって棄却域は [5.409,\infty)

  1. 2.0 は採択域 (-\infty,5.409) に入るので H_0 を採択.

  2. p 値>有意水準より H_0 を採択.