This version: 2025-06-30


1 はじめに

  • この課題では、fixestパッケージを使用して、操作変数法(2段階最小二乗法)を実行し、賃金関数を推定する。
  • fixestパッケージのインストールは完了していることを前提とする。完了していない場合は、以下のコードをコンソールに入力してインストールすること。
install.packages("fixest")
  • 各自でRマークダウンを作成し、以下のRコードを実行して、結果を再現し、knitして生成されるWordファイルを提出すること。

2 賃金のデータ(mroz)

  • Wooldridge (2016)の計量経済学のテキストで用いられている賃金データを使用する。
  • そのため、まず、wooldridgeパッケージをインストールする必要がある。以下のコードをコンソールに入力してインストールすること。
install.packages("wooldridge")

その上で、パッケージを読み込む。

library(wooldridge)
library(fixest)

次に、賃金データmrozを読み込む。

data(mroz)

このデータには、女性の賃金や教育年数、経験年数などの情報が含まれている。

以下でデータのサンプルを表示する。

head(mroz)
##   inlf hours kidslt6 kidsge6 age educ   wage repwage hushrs husage huseduc
## 1    1  1610       1       0  32   12 3.3540    2.65   2708     34      12
## 2    1  1656       0       2  30   12 1.3889    2.65   2310     30       9
## 3    1  1980       1       3  35   12 4.5455    4.04   3072     40      12
## 4    1   456       0       3  34   12 1.0965    3.25   1920     53      10
## 5    1  1568       1       2  31   14 4.5918    3.60   2000     32      12
## 6    1  2032       0       0  54   12 4.7421    4.70   1040     57      11
##   huswage faminc    mtr motheduc fatheduc unem city exper  nwifeinc      lwage
## 1  4.0288  16310 0.7215       12        7  5.0    0    14 10.910060 1.21015370
## 2  8.4416  21800 0.6615        7        7 11.0    1     5 19.499981 0.32851210
## 3  3.5807  21040 0.6915       12        7  5.0    0    15 12.039910 1.51413774
## 4  3.5417   7300 0.7815        7        7  5.0    0     6  6.799996 0.09212332
## 5 10.0000  27300 0.6215       12       14  9.5    1     7 20.100058 1.52427220
## 6  6.7106  19495 0.6915       14        7  7.5    1    33  9.859054 1.55648005
##   expersq
## 1     196
## 2      25
## 3     225
## 4      36
## 5      49
## 6    1089
  • 賃金が欠損ではない女性のサンプルを使用する。
mroz2 <- subset(mroz, mroz$wage > 0)

3 因果関係

賃金は、経験年数や教育年数などの要因の影響を受けると考えられるが、教育年数は、内生的な変数である可能性がある。

つまり、観測されない能力が、教育年数と賃金の両方に影響している可能性がある。その場合、通常のOLSでは、教育年数が賃金に与える影響を正確に推定できない。

そこで、教育年数にのみ影響を与える変数を操作変数(instrumental variable, IV)として使用することで、教育年数の効果を正確に推定することができる。

## 
## Attaching package: 'ggdag'
## The following object is masked from 'package:stats':
## 
##     filter

4 第1段階目の回帰

まず、教育年数の決定要因を推定する。

  • 従属変数は、教育年数educである。

  • 説明変数は、以下の通りである。

    • 経験年数exper
    • 経験年数の二乗expersq

さらに、操作変数(instrumental variables, IV)として、母親の教育年数、父親の教育年数、夫の教育年数を使用する。

  • 母親の教育年数motheduc
  • 父親の教育年数fatheduc
  • 夫の教育年数huseduc

以下のコードを実行して、第1段階目の回帰を行う。

stage1 <- feols(educ ~  exper + expersq + motheduc + fatheduc + huseduc, data = mroz2)

etable関数を使用して、結果を表示する:

etable(stage1)
##                             stage1
## Dependent Var.:               educ
##                                   
## Constant         5.538*** (0.4598)
## exper              0.0375 (0.0343)
## expersq           -0.0006 (0.0010)
## motheduc        0.1142*** (0.0308)
## fatheduc        0.1061*** (0.0295)
## huseduc         0.3753*** (0.0296)
## _______________ __________________
## S.E. type                      IID
## Observations                   428
## R2                         0.42859
## Adj. R2                    0.42182
## ---
## Signif. codes: 0 '***' 0.001 '**' 0.01 '*' 0.05 '.' 0.1 ' ' 1

5 第2段階目の回帰

  • 推定の従属変数は、女性の賃金wageの対数である。

  • 説明変数は、以下の通りである。

    • 教育年数educの第1段階目の回帰から得られた予測値educ_hat
    • 経験年数exper
    • 経験年数の二乗expersq
  • Rのfixestパッケージでは、第1段階と第2段階の回帰を同時に行うことができる。以下のコードを実行して、2段階最小二乗法を実行する。

stage2 <- feols(log(wage) ~  exper + expersq 
                |  educ ~ motheduc + fatheduc + huseduc, 
                data = mroz2)

etable関数を使用して、結果を表示する:

etable(stage2)
##                             stage2
## Dependent Var.:          log(wage)
##                                   
## Constant          -0.1869 (0.2854)
## educ            0.0804*** (0.0218)
## exper            0.0431** (0.0133)
## expersq          -0.0009* (0.0004)
## _______________ __________________
## S.E. type                      IID
## Observations                   428
## R2                         0.14952
## Adj. R2                    0.14351
## ---
## Signif. codes: 0 '***' 0.001 '**' 0.01 '*' 0.05 '.' 0.1 ' ' 1

6 参考文献