2025-01-15

05_地域社会

ルイス・ワース

「都市は、比較的に人口量が多く、人口密度が高い、社会的に異質な諸個人の永続的な集落である。」

計量的定義。人口量、人口密度、住民の社会的異質性(人種と職業の多様性) に焦点を合わせた。

鈴木栄太郎

「都市とは、国民社会における社会的交流の結節機関をそのうちに蔵していることにより、村落と異なっているところの集落社会である。」

人、モノ、情報の流れのnodeのことを「結節機関(集散機関)」ととらえ、その存在で都市を定義した。具体的には、鉄道の駅、バスターミナル、放送局、新聞社、工場、銀行、郵便局など。都市の「格位」。職場として結節機関。

note

定常的移動、昼間人口、夜間人口 

福岡県内各市町村の昼夜人口比率

昼夜人口比率の高い市町村

通信ネットワークのバックボーン

NTTコミュニケーションズ

行政都市と自然都市の区別

  • 地方都市の場合
    • 一つの行政都市の区画の中に一個または数個の自然都市と、多くの農山漁村とが含まれる。
  • 大都市圏の場合(東京や大阪など)
    • 一つの自然都市が数個の行政都市に分割されている。

人口集中地区境界図(福岡県)

人口集中地区境界図(関東)

note

ミシガン湖と高層ビル群(摩天楼)

シカゴ川近く

高架鉄道

06_都市化と社会生活の変化

  • ワースは、都市が第一次的関係の欠如(loss of primary relationships)、弱い社会統制、進んだ社会的分業、マス・メディアの重要性、他者を手段的に扱う都会人の傾向、といった特徴をもっていると考えた。

  • クーリーの第一次集団(primary groups): intimate face-to-face associations and cooperation(親密で対面的な接触と協同)

  • ジンメルは匿名性(anonymity)を都市生活の主要な特徴とみなした。

3つのとらえ方

  • Urbanism as a Way of Life

    • 都市の人口学的特徴(人口量、人口密度、住民の社会的異質性)が都市に固有の生活様式を生み出す。 人口学的要因を重視。
  • Compositional Theory 

    • 人口の社会的構成に注目。種々の生活様式の存在。 人口学的要因の直接的影響を否定。
  • Subcultural Theory 

    • 下位文化(サブカルチャー)の存在。下位文化の成立が容易になる。下位文化間の葛藤(対立)の可能性。 都市の人口学的要因を重視。

町内会・自治会(neighborhood association)

  • 町内とよばれる一定の近隣区域に居住するすべての世帯によって構成され、防犯・交通安全、消防・防災、公衆衛生、親睦・文化・レクリエーション、相互扶助、行政機関との連絡業務など包括的な機能を果たしている。

  • 行政末端機構とする立場、住民自治組織とする立場、日本都市に固有の文化型とする立場など諸説あり、・・・・・・。

    (宮島喬編『岩波小辞典社会学』171-172頁。)

A small town is usually divided by …

町内会の特性

近江哲男

[A群]普遍的にみられる属性

(1)_市町村内の一定の地区の上に結成される地域団体であること。
(2)_それぞれの区域は、互いに排他的(他と重複しない)なこと。
(3)_その区域は、地域社会における各種の地区組織の基礎単位となっていること。
(4)_構成員の単位が、個人でなく、世帯であること。
(5)_区域内のすべての世帯が加入する全加入制であること。
(6)_地域住民の親睦和合、相扶連帯をはかる共同体的性格と、地域生活上の便益増進を目的とする機能集団的性格とを、あわせもっていること。
(7)_機能が複合的、包括的かつ未分化であること。

(8)_公共行政の末端事務の下請を全般的に行なう協力組織であり、また地域住民の要求を公共行政当局に伝える下意上達の組織であること。
(9)_公共行政を補完する事業を行ない、また独自の共同事業を行なう、自主的な自治団体であること。
(10)_公共行政に対する有力な圧力団体であること。
(11)_その関心と活動が、地元閉鎖的であること。

[B群]一部の町内会においてみられる属性

(12)_神社の祭祀祭礼と関係をもち、氏子集団としての組織を内蔵していること。
(13)_保守的・伝統的・地元主義的な思考ならびに行動の様式を温存し、長老的・ボス的な旧中間階級によって支配される世界であること。
(14)_地域における各種選挙の有力な基盤であり、地域社会の権力母体となっていること。
(15)_この団体における役職が地域における個人の社会的地位を決定し、この団体自体が一種の威光と権力の場であること。